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  ◆ やぶ医師のひとりごと         第 107 号  ◆
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 H20年1月18日発行 購読者数 11906名
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 ブログ: 「健康、病気なし、医者いらず」
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  <本日のテーマ> 心不全19(心不全の治療7)
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今日も「心不全の治療」についてです。
まずは、先週までの復習。
●心不全とは
 ○「心不全」というのは、「病気」ではなく、「病態」。
●心臓の役割
 ○「心臓」は、血液を循環させる「ポンプ」の役割をしている。
 ○心臓のポンプ機能が低下した状態の事を「心不全」という。
●心不全の症状
1)心臓(ポンプ)の出力低下による症状
 ○疲れやすい、頻脈、動悸、息切れなど運動能力の低下
2)肺のうっ血による症状
 ○呼吸困難、起座呼吸、咳、痰(ピンク色の泡状の痰)
3)腎臓のうっ血による症状
 ○尿量が減り、体重が増える。
4)消化器のうっ血による症状
 ○食欲低下、吐き気、お腹の張り
5)全身のうっ血による症状
 ○体のむくみ
●心不全の重症度(NYHA分類)
 ○NYHA I~IV度
 I度が軽症で、IV度が重症
●心不全の原因となる病気
 1,心筋不全によるもの
 ○心筋梗塞、心筋症、心筋炎、老化心
 ○貧血、慢性の肺疾患
 ○甲状腺機能亢進症、低下症、脚気など
 2.機械的障害
 ○心臓弁膜症
 ○先天性心疾患(生まれつきの心臓の病気)
 ○心臓を包む膜の病気
  「収縮性心外膜炎」、「心タンポナーデ」
 ○高血圧
1)長期の徐脈(遅い脈)
 ○洞機能不全症候群、完全房室ブロックなど
2)長期の頻脈(速い脈)
 ○心房細動、発作性上室性頻拍症など
●心不全の検査
 ○胸部レントゲン写真、心電図、血液検査
  心臓カテーテル検査、胸部CT、MRI等
●心不全の治療
 ○「心不全そのもの」の治療に加えて、
  「心不全の原因となる病気」の治療もある。
●急性心不全の治療
 ○メインになるのは利尿剤(おしっこを強制的に出す薬)
 ○利尿剤(利尿薬)には、点滴と飲み薬がある
 ○血管拡張薬(点滴と飲み薬、両方ある)
 ○血圧が下がれば、血圧を上げる薬
 ○不整脈が出れば、不整脈を止める薬、等
●慢性心不全の治療
 ○利尿剤(飲み薬)
 ○血管拡張薬(飲み薬)
 ○心臓の負担をとる(興奮する方の神経を抑える薬)
●心不全の原因となる病気の治療
 ○心筋梗塞、不安定狭心症が原因の心不全の場合、
  血管内手術をして、心臓の表面の血管(冠動脈)を広げる。
「心臓」は、血液を循環させる「ポンプ」の役割をしています。
で、そのポンプの機能が低下した状態が「心不全」です。
「心不全の症状」として、疲れやすさや、息切れ、動悸、
呼吸困難、咳、痰などがあります。
そして心不全の原因となる病気には、心筋梗塞、心臓弁膜症、
高血圧、徐脈や頻脈等の不整脈があるんですよ。
そいで、「急性心不全の治療」の基本は、
「体の中に貯まった水分を、体の外に出してあげること。」
で、具体的には、利尿剤(利尿薬)、血管拡張薬なんかの薬。
慢性心不全というのは、バランスがとれている安定した心不全で、
治療は、心臓の負担を取るような飲み薬が中心です。
それに加えて、「心不全の原因となる病気の治療」もあります。
心筋梗塞や、重症の狭心症の場合は、血管内手術をして、
心臓の表面の血管(冠動脈)を広げる治療する、って話でした。
そいで、今日も「心不全の原因となる病気の治療」の続きです。
心不全の原因となる病気っていうのは、
復習にも書いてありますけど。
●心不全の原因となる病気
 1,心筋不全によるもの
 ○心筋梗塞、心筋症、心筋炎、老化心
 ○貧血、慢性の肺疾患
 ○甲状腺機能亢進症、低下症、脚気など
 2.機械的障害
 ○心臓弁膜症
 ○先天性心疾患(生まれつきの心臓の病気)
 ○心臓を包む膜の病気
  「収縮性心外膜炎」、「心タンポナーデ」
 ○高血圧
1)長期の徐脈(遅い脈)
 ○洞機能不全症候群、完全房室ブロックなど
2)長期の頻脈(速い脈)
 ○心房細動、発作性上室性頻拍症など
更にその病気を、おおざっぱに分類すると、
○心臓の筋肉そのものが悪くなる病気
○心臓の弁が悪くなる病気
○不整脈
○心臓以外の病気によって、心臓も悪くなる病気
○その他
というように分けられます。
●心不全の原因となる病気の治療
 ○心臓の弁が悪くなる病気
心臓っていうのは、血液を送り出すポンプの役割をしています。
血液の中には「栄養」とか「酸素」なんかが入っていて、
それが全身に行き渡るから、人間は生きていられるんですよ。
心臓が拍動して、血液を送り出すんだけど。
心臓がただ収縮して小さくなったり、拡張して大きくなるだけだと、
せっかく送り出した血液が「戻って」きてしまうんですよ。
だから、心臓には逆流を防止する「弁」っていうのがついています。
心臓には、4つの部屋があって、
それぞれの部屋に一個ずつ、心臓の弁はついています。
「心臓の弁」っていうのは、イメージでいくと
「ドア」みたいなもんでしょうかねー。
ドアの閉まりが悪いと、「すきま風」が入ってきて寒いですよね。
「心臓の弁」も、「閉まりが悪い」と、「血液が逆流」するんですよ。
一回送り出した血液の一部が逆流して戻ってきたら、
更にもう一回、その血液を送り出さなければならないので。
心臓に余計な負担がかかってしまいます。
その結果「心不全」になっちゃいます。
逆に、「心臓の弁」が「うまく開かない」。
っていう病気もあります。
ドアの金具が錆びていて、開けるのに力がいる。
って事、ありますよね。
古いドアなんかだと。
そんな感じで、「心臓の弁」も古くなって、
うまく開かない、って事があるんですよ。
そういう場合、古くて錆びたドアと同じように、
力を入れないとうまく開かないのですよ。
余計な力がかかるので、心臓にも負担がかかっちゃって、
「心不全」になっちゃう事もあります。
ドアが錆びたり、古くなって、閉まりが悪くなったり、
うまく開かなくなったりしたら、どうやって直しますか?
「ドアを取り替える」しかないですよね。
まあ、「金具を取り替える」って事でも良いですけど。
いずれにせよ、「取り替える」って事をしなきゃいけません。
それと同じように、「心臓の弁」の場合も、
「心臓の弁を取り替える」、って事しか
根本的な治療はないんですよ。
どんな薬を飲んだって、点滴をしたって、
「心臓の弁が治る」って事はないんですよ、残念ながら。
「心臓の弁を取り替える」っていうのは、
言い換えれば「心臓の手術」になります。
「医龍」に出てくるみたいに、
胸を開けて、心臓を止めなきゃ、手術できないんですよ。
一応、心臓を止めないでやる手術もあるんだけどね、ホントは。
でも、心臓を止めて(止めなくても良いけど)、
胸を開けてやる「大手術」ですから。
残念だけど、一定の確率で人が死ぬんですよ。
大手術ですから。
「心臓の弁」の中でも、弁によって手術の難易度は違うから、
一概には言えませんけど。
100人から1000人に1人は死ぬような手術です。
だから、できる限り「心臓の手術」っていうのは、
したくないんですよ。
でも、心臓の手術をしなかったら、「心不全で死ぬ」
って事もあるから、難しい所なんですけどね。
あんまり悪くなりすぎると、もう手遅れになって、
手術をしても、「もう遅い」、って状態になる場合があるので。
心臓の弁が悪い、「心臓弁膜症」の場合。
できる限り、飲み薬とかで、心不全そのものの治療
(原因の治療は、薬ではできません)を行って。
手遅れになる前に、「心臓の弁を交換する手術」をする。
っていうのが、心不全の治療になります。
「心臓の弁を交換する」「弁置換術」っていう手術以外にも、
「弁形成術」っていう手術もあるんですけど。
細かい事は、覚えなくても良いですよ。
ドアの金具が原因でドアが開きにくい場合は、
ドアの金具に「油を塗る」って方法もあるんですけど。
まあ、ここではそれは置いておきましょうか。
そいじゃあ、今日はここまで。
いつものように、下にまとめを書いておきますね!
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【今日のまとめ】
●心不全の原因となる病気の治療2
 ○心臓の弁が悪くなる病気の場合
  根本的な治療は、心臓の弁を交換する「手術」しかない。
  ただし、手術には危険が伴うので、それまでは
  薬などで、心不全の治療を行う。
  そして、手遅れになる前に手術をする。
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