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  ◆ やぶ医師のひとりごと       第 111 号  ◆
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 H20年2月15日発行 購読者数 12077名
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 ブログ: 「健康、病気なし、医者いらず」
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  <本日のテーマ> 心不全23(心不全での注意点)
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今日は「心不全での注意点」についてです。
まずは、先週までの復習。
●心不全とは
 ○「心不全」というのは、「病気」ではなく、「病態」。
●心臓の役割
 ○「心臓」は、血液を循環させる「ポンプ」の役割をしている。
 ○心臓のポンプ機能が低下した状態の事を「心不全」という。
●心不全の症状
1)心臓(ポンプ)の出力低下による症状
 ○疲れやすい、頻脈、動悸、息切れなど運動能力の低下
2)肺のうっ血による症状
 ○呼吸困難、起座呼吸、咳、痰(ピンク色の泡状の痰)
3)腎臓のうっ血による症状
 ○尿量が減り、体重が増える。
4)消化器のうっ血による症状
 ○食欲低下、吐き気、お腹の張り
5)全身のうっ血による症状
 ○体のむくみ
●心不全の重症度(NYHA分類)
 ○NYHA I〜IV度
 I度が軽症で、IV度が重症
●心不全の原因となる病気
 ○心筋梗塞、心筋症、心筋炎、老化心、貧血、慢性の肺疾患
 ○甲状腺機能亢進症、低下症、脚気など
 ○心臓弁膜症、先天性心疾患(生まれつきの心臓の病気)
 ○「収縮性心外膜炎」、「心タンポナーデ」、高血圧
 ○洞機能不全症候群、完全房室ブロックなど
 ○心房細動、発作性上室性頻拍症など
●心不全の検査
 ○胸部レントゲン写真、心電図、血液検査
  心臓カテーテル検査、胸部CT、MRI等
●心不全の治療
 ○「心不全そのもの」の治療に加えて、
  「心不全の原因となる病気」の治療もある。
●心不全の予防
 ○心不全そのものを予防する事はできない。
 
 ○ただし、「心不全の原因となる病気」
  高血圧に関しては、生活習慣を改善する事によって、
  ある程度は予防できる。
 ○「心不全の原因となる病気」である「心筋梗塞」
  に関しても、禁煙、高血圧、糖尿病、高脂血症(脂質異常症)
  を予防する事によって、ある程度は予防できる。
「心臓」は、血液を循環させる「ポンプ」の役割をしています。
で、そのポンプの機能が低下した状態が「心不全」です。
「心不全の症状」として、疲れやすさや、息切れ、動悸、
呼吸困難、咳、痰などがあります。
そして心不全の原因となる病気には、心筋梗塞、心臓弁膜症、
高血圧、徐脈や頻脈等の不整脈があるんですよ。
そいで、「心不全の治療」の基本は、
体の中に貯まった水分を、体の外に出してあげる事です。
それに加えて、「心不全の原因となる病気の治療」もあります。
また、心不全そのものは予防する事は出来ないけど、
心不全の原因として最も多い心筋梗塞に関しては、
高血圧や糖尿病、高脂血症(脂質異常症)を予防して、
動脈硬化を進ませなければ、ある程度は可能、って話でした。
心不全について、いろいろ勉強して、
心不全を予防できれば一番良いんだけど。
予防できない場合もありますから。
実際に心不全になっちゃったら、何に注意したら良いの?
って事で、今日は心不全で注意すべき事についてです。
●心不全での注意点
心不全っていうのは「心臓の機能が低下した状態」
っていう事ですから。
心不全の患者の場合、
「心臓にあまり負担を与えないようにする。」
っていうのが、原則になります。
じゃあ、どんな事をしたら心臓に負担がかかるのか。
っていう事を考えて、それをしなきゃ良いんですよ。
簡単に言えば。
だから、心臓に負担がかかる事、っていうのを
具体的にあげていきましょうか。
○塩分、水分を取りすぎない
心不全で注意しなきゃいけない事で、最も基本的な事が、
「塩分、水分制限」です。
心不全っていうのは、心臓が十分に機能しないで、
体の中に水分が過剰になっている状態です。
その結果、息が苦しくなったり、体がむくんだりする、
っていう心不全の症状がでます。
心不全というのは「体の中に水分が多い状態」っていう事なので、
水分を摂りすぎると良くない。
っていうのは、わかりますよね。
ただでさえ、水分が多い状態なのに、
そこに更に水分を摂ったら、なんか悪そう。
って思いますよね。
それ、正解です。
水分制限はわかるけど。
なんで、塩分も制限しなきゃいけないんだ?
って思いましたか。
鋭い突っ込みです。
これ、すごく大事な事なんで。
ちょっと説明していきますね。
人間の体って、うまくできていて。
「自己調節能」って言うんですかね。
急激に変化があっても大丈夫なように、
自分で調節するような仕組みになっているんですよ。
専門用語では「ホメオスターシス」って言います。
日本語に直すと、「恒常性」かな。
人間って恒温動物だから。
寒い外に行っても、体温が急激には下がらないですよね。
そういうやつですわ。
それと似たような感じで、「血液中のナトリウムの濃度」
っていうのも、一定に保とうとする機能が働きます。
「塩」っていうのは、正式名称は「塩化ナトリウム」ですよね。
これ、中学生くらいの時に習ったでしょ。
ここで、中学生レベルの問題。
Q1)
1%食塩水が1リットルあります。
これに入っている、塩と水って何グラム?
答えは簡単ですね。
A1)塩 10グラム、  水 990グラム
じゃあ、追加問題。
Q2)
そこに塩が2グラム入りました。
濃度を1%に保つには、水が何cc(グラム)必要でしょうか。
はい、正解。
A2)
水 198cc(グラム)ですね。
人間の体のナトリウム濃度の場合も同じです。
塩分をたくさん摂ったら、
血液中のナトリウムの濃度は上がります。
で、血液中のナトリウム濃度を一定に保つ為には、
水を入れれば良いんですよ。
食塩水の問題と一緒ですね。
体の中に水を入れる、っていうのは、
具体的に言うと「水を飲む」って事です。
その為には、「喉が渇く」って感じれば、
水を飲みますよね。
人間の体には「口渇中枢」っていうのがあって、
血液中の塩分の濃度が上がると、これが刺激されて、
「喉が渇く」って感じるんですよ。
そいで、喉が渇いて水を飲むので、
体の中に水が入るので、血液の塩分(ナトリウム)の
濃度が下がる、っていう仕組みです。
だから、塩分を摂りすぎると、喉が渇いて
水分が欲しくなります。
喉が渇いても、海水を飲んじゃ駄目。
って言われるのは、こういう意味です。
海水っていうのは、塩分が濃いから。
海水を飲んだら、余計に喉が渇くんですよ。
そんなわけで、ちょっと化学の問題チックになりましたが。
心不全の時は、水分だけでなく、塩分も制限しなきゃいけない。
っていう話でした。
わかったかな?
そいじゃあ、今日はここまで。
いつものように、下にまとめを書いておきますね!
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【今日のまとめ】
●心不全での注意点
 水分と塩分を制限する。
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