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 ◆ やぶ医師のひとりごと      第 124 号  ◆
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 H20年5月16日発行 購読者数 12811名
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 <本日のテーマ> 慢性腎臓病(CKD)12
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「慢性腎臓病(CKD)」について。
まずは、先週までの復習。
●慢性腎臓病(CKD)とは
 腎臓の機能が低下し、腎臓が障害をおこした状態(病態)。
●慢性腎臓病(CKD)とは、具体的には、
 おしっこ(尿)からタンパクが出たり、
 腎臓の機能が100点満点中60点以下、
 というのが3ヶ月以上続いた状態(病態)。
●慢性腎臓病(CKD)の原因となる病気には、
 糖尿病、高血圧、慢性腎炎等がある。
●慢性腎臓病(CKD)のステージ分類
ステージ      重症度       進行度による分類
                   GFR(mL/min/1.73m2)
 1 腎障害はあるが、GFRは正常または亢進 ≧90
 2 GFR軽度低下             60-89
 3 GFR中等度低下            30-59
 
 4 GFR高度低下             15-29
 
 5 腎不全                <15
(下線は乗数です。m2はmの2乗です。)
●慢性腎臓病(CKD)の重要性
 慢性腎臓病(CKD)は、腎臓が悪いというだけでなく、
 動脈硬化が進んで、心筋梗塞や脳卒中になりやすくなる。
●慢性腎臓病(CKD)の頻度
 ○厳密に慢性腎臓病(CKD)の定義を当てはめると、
  日本には慢性腎臓病(CKD)の患者数は約2000万人。
 ○ただし、日本人というのは、元々腎臓が悪い人種なので、
  それを考慮すると、約400万人の患者がいる。
●慢性腎臓病(CKD)の検査
 ○血液検査、尿検査
●慢性腎臓病(CKD)の症状
 ○基本的には慢性腎臓病(CKD)に症状はない。
 ○ただし、慢性腎臓病(CKD)が進んで、
 
  腎機能がかなり悪くなったり、尿から大量にタンパク
  が出ている場合は、体がむくんだり、
  息が苦しいという症状が出る場合もある。
●慢性腎臓病(CKD)の原因となる病気1
 ○腎臓の機能が低下する原因
 1),腎臓をたくさん使って、腎臓が疲労してくる。
  具体的には年を取ること(加齢)
 2),病気で腎臓の機能が悪くなる。
●慢性腎臓病(CKD)の原因となる病気2
 (1)糖尿病(糖尿病性腎症)
 (2)慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)
 (3)高血圧(腎硬化症)、等
●慢性腎臓病(CKD)の治療
 1)生活習慣の改善
 2)血圧をしっかり下げる
 3)糖尿病の人は、血糖値をしっかり下げる
 4)コレステロールもしっかり下げる
 5)その他
●慢性腎臓病(CKD)の治療
 ○生活習慣の改善
 (1),食事療法
 A)、塩分を一日に6グラム以内に制限する。
 B)、タンパク質を制限する。
 C)、基本的にはエネルギー制限はしない。
「慢性腎臓病(CKD)」っていうのは、病気ではなく、
腎臓の機能が低下している状態(病態)です。
具体的には、腎臓の機能が100点満点中60点以下、
というのが3ヶ月以上続いた状態です。
腎臓が悪いと、動脈硬化が進んで、心筋梗塞とか脳卒中とか
恐ろしい病気になりやすくなっちゃうんですよ。
そいで、慢性腎臓病(CKD)って診断するためには、
血液検査や尿検査なんかの検査をするんですが、
慢性腎臓病(CKD)には、基本的には症状はありません。
で、腎臓の機能は年を取ったり、糖尿病や高血圧、
慢性腎炎のような病気になると悪くなって。
治療としては、生活習慣の改善や、血糖や血圧、
コレステロールの値を下げるのが大事なんです。
食事療法の具体的な内容は、塩分とタンパク質の制限で、
カロリーは基本的には制限しない、って話でした。
そいじゃあ今日は、「慢性腎臓病(CKD)の治療」の
「生活習慣の改善」の続きです。
●慢性腎臓病(CKD)の治療3
先週やったように、慢性腎臓病(CKD)の治療の中で、
最も重要といっても良いのは、生活習慣の改善で。
先週は、そのうちの
 (1)食事療法
について説明していきましたね。
今週は、それ以外の生活習慣についてです。
○生活習慣の改善
 (2)、水分を制限し過ぎない
水分を制限しすぎると、「脱水」になっちゃいますから。
特に、高齢者の方なんかはね。
「脱水」になると、腎臓は悪くなりやすいんですよ。
そうならないために、
ある程度の水分を摂る必要はあります。
透析している人っていうのは、全くおしっこ(尿)が出ないか、
非常におしっこ(尿)の量が少ない人が多いですから。
透析患者さんは、水分を制限する必要があるんですけどね。
透析をしていない、慢性腎臓病(CKD)の人っていうのは、
基本的には水分制限は必要ありません。
むしろ、ある程度の水分を摂るようにした方が良いです。
ただ、飲めば飲む程良い、ってわけではないので。
ほどほどに、水分を摂れば良い、って事です。
具体的には、一日に1リットルとか、
せいぜい2リットル位でしょうか。
人間の体っていうのは、水分が足りなくなったら、
喉が渇くようになっていますからね。
喉が渇いたら水分を摂る、って事にしていれば、
一日に何cc水を飲んだ、って事は
あんまり気にしなくてもよいんです。
でも、高齢者の場合は、水分が足りなくなっても
喉が渇いたって思わない人がいるんですよ。
だから、高齢者っていうのは脱水になりやすいんです。
高齢者の場合は、周りの人間が
意識して水分を摂るように言ってあげて、
ある程度の水分を摂って貰った方が良いと思います。
 (3)、肥満を解消する
体重が多い、っていう事だけで、腎臓が悪くなりやすい。
っていう事はないんですけどね。
体重が多いと、血圧も上がりやすいし、
血糖値もコレステロールの値も高くなりやすいんですよ。
血圧が上がると、腎臓の機能も悪くなりますし。
糖尿病が進むと、慢性腎臓病(CKD)になる場合もあります。
高血圧、糖尿病、高脂血症(脂質異常症)があると、
動脈硬化が進んで、心筋梗塞や脳卒中に
なりやすくなっちゃうので。
動脈硬化をこれ以上進めない、っていう意味で、
肥満の人は、もう少し体重を落とす必要があります。
 (4)、禁煙する
これも、何回も出ていますよね。
タバコを吸っていると、吸わない人の2倍とか3倍のスピードで、
動脈硬化が進みますから。
心筋梗塞や脳卒中に、何倍もなりやすくなります。
慢性腎臓病(CKD)単独でも、
そういう病気になりやすいんだから、
タバコを吸っていて、かつ慢性腎臓病(CKD)もあると、
更に猛スピードで動脈硬化が進みますから。
絶対に、タバコは止めなきゃだめですよ!
 (5)、お酒はほどほどに
お酒を飲むと腎臓の機能が悪くなる。
っていうデーターは、今のところありません。
ただ、お酒の場合は「適量」飲むと長生きできるし、
心筋梗塞なんかになる確率も減ります。
でも、お酒をたくさん飲むと、寿命も短くなるし、
心筋梗塞等の病気になる確率も高くなる、
っていう調査も出ています。
慢性腎臓病(CKD)に限らず、あくまで一般論として、
お酒はほどほどにする方が良いです。
具体的には、一日にビールならジョッキ1杯。
日本酒なら1合以下が適量、って言われています。
はっきり言って、今日の生活習慣に関しては、
慢性腎臓病(CKD)の人に限らず、
他の病気の人でも、健康な人にも言える事なのですけどね。
まあ、一応って言ったらおかしいけど。
本日は慢性腎臓病(CKD)の治療の中の、
「生活習慣の改善」についてでした。
そいじゃあ、今日はここまで。
いつものように、下にまとめを書いておきますね!
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【今日のまとめ】
●慢性腎臓病(CKD)の治療3
 ○生活習慣の改善
 (2)、水分を制限し過ぎない
 (3)、肥満を解消する
 (4)、禁煙する
 (5)、お酒はほどほどに
参照:CKD診療ガイド
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