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 ◆ やぶ医師のひとりごと      第 127 号  ◆
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 H20年6月6日発行 購読者数 12898名
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 <本日のテーマ> 慢性腎臓病(CKD)15
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「慢性腎臓病(CKD)」について。
まずは、先週までの復習。
●慢性腎臓病(CKD)とは
 腎臓の機能が低下し、腎臓が障害をおこした状態(病態)。
●慢性腎臓病(CKD)とは、具体的には、
 おしっこ(尿)からタンパクが出たり、
 腎臓の機能が100点満点中60点以下、
 というのが3ヶ月以上続いた状態(病態)。
●慢性腎臓病(CKD)の原因となる病気には、
 糖尿病、高血圧、慢性腎炎等がある。
●慢性腎臓病(CKD)のステージ分類
ステージ      重症度       進行度による分類
                   GFR(mL/min/1.73m2)
 1 腎障害はあるが、GFRは正常または亢進 ≧90
 2 GFR軽度低下             60-89
 3 GFR中等度低下            30-59
 
 4 GFR高度低下             15-29
 
 5 腎不全                <15
(下線は乗数です。m2はmの2乗です。)
●慢性腎臓病(CKD)の重要性
 慢性腎臓病(CKD)は、腎臓が悪いというだけでなく、
 動脈硬化が進んで、心筋梗塞や脳卒中になりやすくなる。
●慢性腎臓病(CKD)の頻度
 ○厳密に慢性腎臓病(CKD)の定義を当てはめると、
  日本には慢性腎臓病(CKD)の患者数は約2000万人。
 ○ただし、日本人というのは、元々腎臓が悪い人種なので、
  それを考慮すると、約400万人の患者がいる。
●慢性腎臓病(CKD)の検査
 ○血液検査、尿検査
●慢性腎臓病(CKD)の症状
 ○基本的には慢性腎臓病(CKD)に症状はない。
 ○ただし、慢性腎臓病(CKD)が進んで、
 
  腎機能がかなり悪くなったり、尿から大量にタンパク
  が出ている場合は、体がむくんだり、
  息が苦しいという症状が出る場合もある。
●慢性腎臓病(CKD)の原因となる病気1
 ○腎臓の機能が低下する原因
 1),腎臓をたくさん使って、腎臓が疲労してくる。
  具体的には年を取ること(加齢)
 2),病気で腎臓の機能が悪くなる。
●慢性腎臓病(CKD)の原因となる病気2
 (1)糖尿病(糖尿病性腎症)
 (2)慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)
 (3)高血圧(腎硬化症)、等
●慢性腎臓病(CKD)の治療
 ○生活習慣の改善
 (1),食事療法
 (2)、血圧をしっかり下げる
  具体的には血圧 130/80mmHg未満が目標。
  できればACE阻害薬、ARBという薬を使う。
 3)、糖尿病の人は、血糖値をしっかり下げる
  具体的にはHbA1cが6.5%以下。
  空腹時の血糖値は110~130mg/dl。
「慢性腎臓病(CKD)」っていうのは、病気ではなく、
腎臓の機能が低下している状態(病態)です。
具体的には、腎臓の機能が100点満点中60点以下、
というのが3ヶ月以上続いた状態です。
腎臓が悪いと、動脈硬化が進んで、心筋梗塞とか脳卒中とか
恐ろしい病気になりやすくなっちゃうんですよ。
そいで、慢性腎臓病(CKD)って診断するためには、
血液検査や尿検査なんかの検査をするんですが、
慢性腎臓病(CKD)には、基本的には症状はありません。
で、腎臓の機能は年を取ったり、糖尿病や高血圧、
慢性腎炎のような病気になると悪くなるんですよ。
慢性腎臓病(CKD)の治療には、生活習慣の改善や、
血圧、血糖、コレステロールをしっかり下げる事が重要で。
血圧に関しては、130/80mmHg以下っていう、
普通の人よりも低い値に保つ。
血糖値も、正常の人と同じくらいまで下げる。
っていう話でした。
そいじゃあ今日も「慢性腎臓病(CKD)の治療」の続きです。
●慢性腎臓病(CKD)の治療6
 4)コレステロールもしっかり下げる
慢性腎臓病(CKD)の人は、心筋梗塞や脳卒中になりやすい。
っていうのは、今までに話した通りです。
高脂血症、最近は脂質異常症っていう様に、
病気の名前が変わりましたけどね。
脂質異常があると、心筋梗塞や脳卒中になりやすいです。
コレステロールの正常値っていうのは、
年々変わってきているんですよ、実は。
病気の名前も変わったくらいですしね(笑)
昔は、というか今でも、健康診断の結果では、
総コレステロールの値が220mg/dl以上だと、
正常値ではない、って事で注意されると思いますけど。
「全く病気のない人」であれば、総コレステロール値が
220mg/dlというのは、問題ない値なんですよ。
でも、糖尿病の人で、総コレステロールが
220mg/dlだったら、薬を飲んだ方が良い。
っていうように。
他に病気があるか、ないか。
まあ、厳密に言うと、心筋梗塞や脳卒中になりやすいか、
なりにくいか、っていう事で。
正常値というか、目標値っていうのが決まっています。
今はやりの「ガイドライン」っていうやつですよ。
これも、何年かに一度、改訂されています。
大きく変わったのは、2007年です。
だって、病気の名前が変わってるんだもん。
「高脂血症」から「脂質異常症」になっています。
そして、今までは高脂血症の診断、治療の時に、
総コレステロール、中性脂肪、HDL(善玉)コレステロール、
LDL(悪玉)コレステロール、の4つを測っていたんですけど。
2007年からは、総コレステロールは必要ない。
って事に変わっちゃったんですよ。
詳しい話は、ここに書いてありますよ!
高脂血症ガイドライン 2007 
http://www.ichiba-md.jp/LS/HL/HL07.htm
ざっとまとめると。
どのくらい心筋梗塞や脳卒中になりやすいか。
具体的には、心筋梗塞や脳卒中になりやすい病気とか、
タバコを吸っているのか、家族歴があるか。
そういうのを「危険因子」っていうんですけどね。
その「危険因子」が何個あるかによって、
コレステロール、特にLDL(悪玉)コレステロールを、
どの位まで下げたら良いのか、っていう事が決まってきます。
「危険因子」っていうのは、具体的には
 ○年齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、
 ○高血圧
 ○糖尿病(境界型を含む)
 ○喫煙
 ○家族歴(両親に心筋梗塞や狭心症があるか)
 ○低HDLコレステロール血症(<40mg/dl) です。 このうち、いくつ持っているか。 って事で、目標になるLDL(悪玉)コレステロール の値が決まります。 心筋梗塞や脳卒中に一番なりやすい人。 具体的には危険因子が3つ以上の人は、 カテゴリーIIIになりますから。 LDL(悪玉)コレステロールを120mg/dl以下まで下げる。 っていうのが目標になります。 実は、危険因子の中でも「糖尿病」だけは別格で。 糖尿病の場合は、一個だけでも カテゴリーIIIになっちゃいまーす。 そいで、やっと本題に戻って。 この危険因子ってやつの中には、慢性腎臓病(CKD)は 入っていませんよね。 まあ、慢性腎臓病(CKD)っていうのが注目されたのは、 2007年頃ですからねー。 2007年の高脂血症(脂質異常症)のガイドラインは、 きっとその前の年くらいには出来ているでしょうから。 それには入っていなくてもしょうがないかな。 とは思いますが。 きっと、あと何年か後には加わるかもしれませんね。 って、また話がそれましたが。 「じゃあ、慢性腎臓病(CKD)の場合は、 どのくらいLDL(悪玉)コレステロールを下げれば良いの?」 っていう話なんですが。 「CKD診療ガイド」によると、 LDL(悪玉)コレステロールの目標は、120mg/dl未満。 って事になっています。 これって、「糖尿病」の人と同じくらい。 「危険因子が3つ以上」の場合と同じくらい。 という事ですから、相当厳しい基準になります。 他に病気のない人の場合は、 LDL(悪玉)コレステロールの目標は160mg/dlですからね。 ちなみに、中性脂肪やHDL(善玉)コレステロールの 目標値というのは、危険因子等に関わらず、 中性脂肪は、150mg/dl未満。 HDL(善玉)コレステロールは、40mg/dl以上。 という事になっていますよ。 そいじゃあ、今日はここまで。 今日もちょっと専門的な話になってごめんね! いつものように、下にまとめを書いておきまーす。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【今日のまとめ】 ●慢性腎臓病(CKD)の治療6  4)コレステロールもしっかり下げる   具体的には  ○LDL(悪玉)コレステロールの目標は、120mg/dl未満。  ○中性脂肪は、150mg/dl未満。  ○HDL(善玉)コレステロールは、40mg/dl以上。 参照:CKD診療ガイド ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━