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 ◆ やぶ医師のひとりごと     第 128 号  ◆
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 H20年6月13日発行 購読者数 12890名
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 <本日のテーマ> 慢性腎臓病(CKD)16
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「慢性腎臓病(CKD)」について。
まずは、先週までの復習。
●慢性腎臓病(CKD)とは
 腎臓の機能が低下し、腎臓が障害をおこした状態(病態)。
●慢性腎臓病(CKD)とは、具体的には、
 おしっこ(尿)からタンパクが出たり、
 腎臓の機能が100点満点中60点以下、
 というのが3ヶ月以上続いた状態(病態)。
●慢性腎臓病(CKD)の原因となる病気には、
 糖尿病、高血圧、慢性腎炎等がある。
●慢性腎臓病(CKD)のステージ分類
ステージ      重症度       進行度による分類
                   GFR(mL/min/1.73m2)
 1 腎障害はあるが、GFRは正常または亢進 ≧90
 2 GFR軽度低下             60-89
 3 GFR中等度低下            30-59
 
 4 GFR高度低下             15-29
 
 5 腎不全                <15
(下線は乗数です。m2はmの2乗です。)
●慢性腎臓病(CKD)の重要性
 慢性腎臓病(CKD)は、腎臓が悪いというだけでなく、
 動脈硬化が進んで、心筋梗塞や脳卒中になりやすくなる。
●慢性腎臓病(CKD)の頻度
 ○厳密に慢性腎臓病(CKD)の定義を当てはめると、
  日本には慢性腎臓病(CKD)の患者数は約2000万人。
 ○ただし、日本人というのは、元々腎臓が悪い人種なので、
  それを考慮すると、約400万人の患者がいる。
●慢性腎臓病(CKD)の検査
 ○血液検査、尿検査
●慢性腎臓病(CKD)の症状
 ○基本的には慢性腎臓病(CKD)に症状はない。
 ○ただし、慢性腎臓病(CKD)が進んで、
 
  腎機能がかなり悪くなったり、尿から大量にタンパク
  が出ている場合は、体がむくんだり、
  息が苦しいという症状が出る場合もある。
●慢性腎臓病(CKD)の原因となる病気1
 ○腎臓の機能が低下する原因
 1),腎臓をたくさん使って、腎臓が疲労してくる。
  具体的には年を取ること(加齢)
 2),病気で腎臓の機能が悪くなる。
●慢性腎臓病(CKD)の原因となる病気2
 (1)糖尿病(糖尿病性腎症)
 (2)慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)
 (3)高血圧(腎硬化症)、等
●慢性腎臓病(CKD)の治療
 ○生活習慣の改善
 (1),食事療法
 (2)、血圧をしっかり下げる
  具体的には血圧 130/80mmHg未満が目標。
  できればACE阻害薬、ARBという薬を使う。
 3)、糖尿病の人は、血糖値をしっかり下げる
  具体的にはHbA1cが6.5%以下。
  空腹時の血糖値は110~130mg/dl。
 4)コレステロールもしっかり下げる
  具体的には
 ○LDL(悪玉)コレステロールの目標は、120mg/dl未満。
 ○中性脂肪は、150mg/dl未満。
 ○HDL(善玉)コレステロールは、40mg/dl以上。
「慢性腎臓病(CKD)」っていうのは、病気ではなく、
腎臓の機能が低下している状態(病態)です。
具体的には、腎臓の機能が100点満点中60点以下、
というのが3ヶ月以上続いた状態です。
腎臓が悪いと、動脈硬化が進んで、心筋梗塞とか脳卒中とか
恐ろしい病気になりやすくなっちゃうんですよ。
そいで、慢性腎臓病(CKD)って診断するためには、
血液検査や尿検査なんかの検査をするんですが、
慢性腎臓病(CKD)には、基本的には症状はありません。
で、腎臓の機能は年を取ったり、糖尿病や高血圧、
慢性腎炎のような病気になると悪くなるんですよ。
慢性腎臓病(CKD)の治療には、生活習慣の改善や、
血圧、血糖、コレステロールをしっかり下げる事が重要で。
血圧に関しては、130/80mmHg以下っていう、
普通の人よりも低い値に保つ。
血糖値も、正常の人と同じくらいまで下げる。
LDL(悪玉)コレステロールの目標は、
120mg/dl未満という、普通の人の目標値よりも
かなり低い値まで下げる、っていう話でした。
そいじゃあ今日も、「慢性腎臓病(CKD)の治療」の続きです。
●慢性腎臓病(CKD)の治療7
なんか最近、専門的で堅苦しい話ばっか続いていたので。
今日は、あっさりいきますか♪
5)その他
薬の副作用で、腎臓が悪くなる場合があります。
薬って言われているものには、全て「副作用」があるので。
ある程度しょうがない部分はあるんですけどね。
いろんな薬の中でも、特に腎臓に悪い、というか
腎機能障害を起こしやすい薬、っていうのがあります。
具体的には、痛み止め(非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs))。
それと、造影剤なんかの薬は、
たくさん使うと腎臓が悪くなっちゃうんですよ。
抗ガン剤とかもあるけどね。
造影剤っていうのは、検査をする時に医師が使うもんだし。
抗ガン剤も医師が量を調節するもんだから、
普通の人が量をコントロールする事はできません。
でも、痛み止めの薬って、本人が調節できる場合もあるんです。
痛み止めの薬を、痛い時に飲みなさい、って言われて
病院で薬を出してもらってる人っていますよね。
たくさん痛み止めを出してもらって、
ちょっと痛いからっていって、痛み止めを毎日飲んでいると、
どんどん腎臓の機能が悪くなってしまう事がありますから。
注意しないと駄目ですよ!
それと、水分が足りなくなって脱水になっちゃうと、
腎臓の機能が悪くなる事がありますので。
これにも注意が必要です。
水分に関しては以前、「慢性腎臓病(CKD)の治療3」の時に、
 ○生活習慣の改善
 (2)、水分を制限し過ぎない
ってところでも書いたのですけど。
これに関して、質問を頂きました。
質問)
小水を沢山出すことが腎臓に負荷が掛かるのか、
小水の量を少なくし、濃縮された状態にすることが、
腎臓の負荷が軽減出来るのか、についてです。
言い換えれば、水分摂取は控えるのが良いのか、
十分摂取するのが良いのか、です。
「必要以上の水分摂取を控え、濃く濃縮された
小水の状態で排泄させることが、
腎臓を疲労させないことになるのでしょうか。」
という質問です。
うーん、なかなか鋭い、良い質問ですよ、これ。
これに対する私の答えです。
答え)
基本的には、人間の体っていうのは、
飲んだ分だけ尿が出るような仕組みになっています。
例えば、1リットル水を飲んだら、1リットル尿が出る。
というような感じです。
でも、丸1日、水分を全く飲まなかった、
という場合でも、尿は出ます。
なぜなら、体の中に老廃物が貯まってしまうから、
それを外に出さなければならないからです。
でも、1リットル尿を出してしまうと、
体の中の水分が足りなくなってしまうので、
なるべく濃縮して尿を出すようにします。
じゃあ、これが体に良いのか、っていうと。
あんまり良くないです、というか悪いです。
あくまでイメージなんですけど。
少ない水に、砂糖をたくさん溶かそうとすると、
頑張って、たくさんかき回さないといけないですよね。
これって、余計な労力がかかっている、
って事になりますよね。
そんな感じで、極端に濃縮をしようとすると、
腎臓に負担がかかってしまうので。
そこそこの濃度で尿を出す、っていうのが
腎臓への負担をかけない方法です。
逆に水分を一日に3リットル飲んだら、
尿が3リットル出るっていう事になるんですけどね。
前のメルマガにも書きましたけど。
一日に体の中で使われる水分っていうのは、
150リットルとか200リットルもあるんですよ。
だから、尿が一日に1.5リットルだとすると、
それを100回使い回ししている、って事なんですよ。
腎臓できれいにろ過して、それを体の中で
100回位使って。
その1/100が尿として外に出る、っていう感じです。
だから、少々水分を多くとったとしても、
100回が102回になる、とかってだけなので。
多少、水分を多く摂っても、そんなに腎臓には
負担はかかりません。
そういう話なので、本文の中では
「適切に水分を摂る」、「むしろ脱水には注意」
というような書き方になっています。
ある程度の量というのは、具体的には
1リットルとかせいぜい2リットル位かな。
その位は水分を摂った方が良いと思いますよ。
あくまでイメージなのですけどね。
そんな感じで、今日は慢性腎臓病(CKD)の治療の、
その他についてでした。
微妙に治療じゃないだろ、って突っ込みはなしにしてね。
そいじゃあ、今日はここまで。
いつものように、下にまとめを書いておきまーす。
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【今日のまとめ】
●慢性腎臓病(CKD)の治療7
 5)その他
 ○痛み止め(非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs))、
  造影剤、抗ガン剤等の薬は、たくさん使うと、
  腎臓の機能を悪くする場合がある。
 ○痛み止めの薬(非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs))は、
  自分である程度、量を調節できる場合があるので。
  なるべくであれば、使うのを控える。
 ○適切に水分を摂る、むしろ脱水には注意する
  具体的には一日に、1リットル~2リットル位。
参照:CKD診療ガイド
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