<本日のテーマ> 高脂血症(脂質異常症)の治療(生活習慣病 3)

第1回は高脂血症(脂質異常症)の診断基準。
第2回は高脂血症(脂質異常症)の原因。
第3回は高脂血症(脂質異常症)の合併症。
第4回は高脂血症(脂質異常症)の予防についてでしたね。

第5回の今日は、高脂血症(脂質異常症)の治療についてです。

生活習慣の改善

糖尿病、高血圧でもそうだったんですが、高脂血症(脂質異常症)の治療は生活習慣の改善が基本です。
それでも不十分であれば、薬物療法になります。
決して薬を飲むようになったから、もう何を食べても良い。
運動もしなくて良いってわけではないですからね♪

生活習慣の改善は、血中脂質を下げるだけでなく、動脈硬化が進むのを防ぐのが目的です。
だから、動脈硬化を促進するほかの要素、高血圧、耐糖能異常、肥満なども改善できるよう生活を改善します。

具体的には

1.禁煙
2.食生活の改善
3.適正体重の維持
4.適度な運動

になります。

で、食事、運動療法に関してなんですが、高脂血症(脂質異常症)の治療も予防も基本的には同じです。
では、ここで前回の「高脂血症(脂質異常症)の予防」で書いた、食事、運動療法の復習をしてみましょう!

●食事)

1.栄養バランスの良い食事を取る。
2.カロリーを控えて、太らない。
3.飽和脂肪酸より、不飽和脂肪酸を多く摂る。
4.食物繊維をしっかりとる。
5.高コレステロールの人は、コレステロールを多く含む食品を控える。
6.中性脂肪が高い人は、砂糖や果物などの糖質と、お酒を減らす。

●運動)

一日合計30~45分位の有酸素運動をするのが望ましい。
高脂血症(脂質異常症)の8割以上は過食、高脂肪食、運動不足などや、それによる肥満という生活習慣が原因ですから、それを改善すれば予防ができるって事でした。

これに関して、先日私のメルマガでも紹介したドクタースマートさんからメールをいただきました。

「5.高コレステロールの人は、コレステロールを多く含む食品を控える。
コレステロールの多い食品で有名なのは、卵ですね。
魚卵(いくら、すじこ、たらこ、かずのこ等)もですね。」

「コレステロールを多く含む食品を控える」というのは、正しいと思います。

しかし、玉子を食べるとコレステロールが上昇するというのは、本当のことですか?

最近の知見では、「玉子を食べてもコレステロールが上昇しない」と言われているのではないのでしょうか?

という内容でした。

これに関しては、私も実は先週書くかどうか悩んだところなんです。

予防のところで、
3、飽和脂肪酸より、不飽和脂肪酸を多く摂る。
と、ありますよね。

実は卵というのは、不飽和脂肪酸を多く含む食品なんですよ。
以前、「みのも○た」さんがやっている昼の有名な番組で、「卵は不飽和脂肪酸が多く含まれているから、食べても良い。」
と言っていたそうです。

確かに
「卵は不飽和脂肪酸が多く含まれている」
というのは正しいです。

しかし、卵一個(50g)には210mgものコレステロールが含まれており、これは一日に必要な摂取量の約2/3に当たります。

不飽和脂肪酸が多く含まれている事は事実なのですが、このコレステロールを全て下げられる程なのかは、今のところ何とも言えません。

しかし、卵を食べてもコレステロールは上がらないという、研究発表をしている方達もいる事は事実です。

卵は食べたらだめ?いい?

ややこしくなってしまったのでまとめると

1,卵には多くのコレステロール(一個に210mg)が含まれている。
2,卵には不飽和脂肪酸が多く含まれている。

1>2であれば、コレステロールは上がります。
1=2であればコレステロールには影響しませんし、1<2であればコレステロールは下がります。
いろいろな意見があり、まだ結論は出ておりません。

インターネットや他の文献で調べても、高脂血症(脂質異常症)の食事療法では卵は控えた方が良い、という意見が大半でした。

従って、今の段階ではコレステロールを多く含む卵は制限した方が無難だろう、という風に思います。

●薬物療法)

高脂血症(脂質異常症)の治療の基本は、食事療法、運動療法なので、高脂血症(脂質異常症)と診断されたら、2~3ヶ月は食事運動療法を行います。
それでも十分にコレステロールや中性脂肪が下がらない場合に、薬物療法を「追加」します。
高脂血症(脂質異常症)には大きく分けて、コレステロールが高いタイプと中性脂肪が高いタイプがいますので、タイプによって薬を使い分けます。

1)HMG-CoA還元酵素阻害剤

コレステロール合成に作用する酵素を抑えて、総コレステロールやLDL(悪玉)コレステロールを低下させます。

2)プロブコール

コレステロールが胆汁酸に変化するのを促進します。

3)陰イオン交換樹脂製剤

胆汁酸が腸管から吸収されるのを抑えて、コレステロールを低下させます。

1)~3)の薬が総コレステロールやLDL(悪玉)コレステロールを主に低下させる薬剤です。

4)フィブラート系

中性脂肪を低下させ、HDL(善玉)コレステロールを上昇させます。

5)EPA製剤

肝臓でLDLの合成を抑えて中性脂肪を低下させます。

6)ニコチン酸製剤

肝臓でLDLの合成を抑えて中性脂肪を低下させます。

で、4)~6)の薬が主に中性脂肪を下げる薬です。
まあ、医者以外はあんまり細かい薬の事は知らなくっても良いですよ。

大事なのは、「薬を飲んだら食事や運動療法はいらない訳じゃない」って事です。
あくまで、薬は食事、運動療法に「追加」するものだっていう事です。

本当は糖尿病があるだとか、狭心症、心筋梗塞になった事があるとかで、どの位までコレステロールは下げなきゃいけないっていう基準があるのですが。
専門的な話になってしまうので、ここでは省きますね。

というわけで、今日は高脂血症(脂質異常症)の治療についてでした。
全5回で高脂血症についても終了です。
お疲れ様でしたー♪
いつものように、下にまとめを書いておきますね。

【今日のまとめ】

●高脂血症(脂質異常症)の治療は食事、運動療法と薬物療法
●食事)
1、栄養バランスの良い食事を取る。
2、カロリーを控えて、太らない。
3、飽和脂肪酸より、不飽和脂肪酸を多くとる。
4.食物繊維をしっかりとる。
5.高コレステロールの人は、コレステロールを多く含む食品を控える。
6.中性脂肪が高い人は、砂糖や果物などの糖質と、お酒を減らす。
●運動)
一日合計30~45分位の有酸素運動をするのが望ましい。
●薬物療法)
薬を飲むだけではなく、食事運動療法に追加するのが大事。