●脳梗塞の種類
1)ラクナ梗塞
2)アテローム血栓性脳梗塞
3)心原性脳梗塞

●脳梗塞の症状
□片麻痺(半身が動かなくなること)
□失語症(言葉がしゃべれなくなること)
□意識障害
□頭痛、吐き気は、ない事も多い。

●脳梗塞の前駆症状
1.食事中にはし(箸)を落とす。
2.言葉が出てこない。
3.片側の手足がしびれる。
4.ものが二重に見える、片方の目が見えにくい。
5.パピプペポ・ラリルレロがはっきり言えない。
6.目の前が暗くなる。
7,ふらっとする、ふわっとする感じ
そういった症状が数分~数十分間続く。

●脳梗塞の治療(急性期)
○血栓溶解療法
「脳に行く血管」に血が詰まったら、すぐに溶かす治療。
脳梗塞になってから3時間以内でしか、できない治療なので、
「脳梗塞の症状」を疑うような症状(片麻痺、 失語症、
意識障害など)が出たら、すぐに病院に連れて行く。

○脳のダメージを少なくする治療(内科的治療)
△脳梗塞後に、脳の膨らみを少しでも抑えて、
脳のダメージを抑える治療(点滴)。
△脳の循環を良くする治療(点滴)。
△脳の神経細胞を保護する治療(点滴)。

○外科的治療
△脳がむくんでいる間、一時的に頭蓋骨の一部を切ってはずす手術。
△動脈に詰まった血の固まりを取り除く手術。
△血液の不足した脳に対する血管のバイパス術。

「脳梗塞」っていうのは、「脳に行く血管」が詰まる病気です。
そして、その結果、片麻痺、失語症、意識障害なんかの症状が出るって話でした。

それで、脳梗塞の治療は基本的には内科的な治療ですが、場合によっては手術が必要になる事もあるんでしたね。
で、今までやってきたのは、脳梗塞になって「すぐ」。

医学的には「急性期」とか、「超急性期(3時間以内)」の治療なんです。

脳梗塞になって、「すぐ」の治療は、ベストは脳に行く血管の血の固まりを溶かしてあげて、脳に血液を流す治療。
それが無理なら、脳のダメージを抑えたり、脳の循環を良くしたり、脳の神経細胞を保護する治療をするんです。

慢性期の治療

で、今日は、脳梗塞の治療の続き、「慢性期の治療」についてです。

脳梗塞になって、急性期の治療が終わったら、慢性期の治療をします。
急性期の治療は、「脳のダメージを少なくする事」が目的ですが。
慢性期の治療は、「もう一度脳梗塞にならないようにする事」が目的になります。

いわゆる、「脳梗塞の再発予防」です。

脳梗塞というのは、「脳に行く血管」に血が詰まる病気なので。
一言で言うと、血を詰まらせないようにするんですよ。
テレビや雑誌で言っている俗語を使うと、「サラサラ血液」にするって事ですね。

納豆とか、そういう食べ物を食べる、ってのもあるんですが。

基本的には、「薬物療法」になります。

●脳梗塞の治療(慢性期)
○内科的治療

1,血液をサラサラにする治療

ちょっと細かい話になっちゃいますけどね。

以前もやりましたけど、脳梗塞の種類には
1)ラクナ梗塞、2)アテローム血栓性脳梗塞、3)心原性脳梗塞
の3種類があるんです。

で、おおざっぱに分けると、1)、2)は「動脈硬化」が原因、3)は「心臓」が原因なんで、「原因」が違うんですよ。
だから当然、使う薬も違います。

1)ラクナ梗塞、2)アテローム血栓性脳梗塞
この2つは、動脈硬化が原因で、血液をサラサラにする薬の中でも、「抗血小板薬」という薬を使います。

「痛み止めの薬」で、「バファリン」とか「アスピリン」って薬を聞いたことがありませんか?

あれ、実は脳梗塞の治療で使うのと、同じ薬なんですよ。

「アスピリン」って薬は、たくさん飲むと、痛み止めや解熱作用があるんですけど。
もっと少ない量を飲むと、血液をサラサラにする効果があるんです。

同じ薬でも、「量」によって効果が違うって、珍しい薬です。
でも、薬の量は医者とか薬屋さんが決めていますから。

自分で血液をサラサラにしたいから、って思って勝手に痛み止めの薬を飲んじゃ駄目ですよ!
痛み止めは、胃や腎臓に悪いですからね。

3)心原性脳梗塞
この予防には、「ワーファリン」って名前の薬を使います。
この薬が、今のところ、全ての飲み薬の中で一番、血液を固まらせないって効果が強いです。

血の塊を溶かすこともできる強力な薬です。
「心原性脳梗塞」というのは、心臓の中で固まった血液が、脳に行く血管に飛んで行って、脳梗塞になるので。

心臓の中で、血液を固まらせない治療をする必要があります。

また、この薬を飲んでいる人は、「納豆」を食べることができません。
血液をサラサラにする薬っていうのは、痛み止めと同じ種類のアスピリンやバファリンをはじめ、いくつかあるんですが。
納豆を食べたら駄目って薬は、ワーファリンだけです。

2,原因となる病気の治療

脳梗塞の多くは、「動脈硬化」が原因ですから。
何回も出ていますが、「動脈硬化」というのは、高血圧、糖尿病、高脂血症といった病気や、タバコ、そして年齢が上がると進みます。
ですから、もう一度脳梗塞を繰り返さない為に、タバコを吸っている人は、まず禁煙。
高血圧、糖尿病、高脂血症といった病気のある人は、食事・運動療法や、それに対する薬物療法を行います。

この中でも特に「高血圧」の治療が最も重要です。

○外科的治療
動脈硬化性の脳梗塞の中でも、直径5~8mmの「太い血管」の中にコレステロールや脂肪がたまって動脈硬化が起こり、血の塊で血管が詰まるのを、アテローム(じゅく状硬化)血栓性梗塞って言うんです。
イメージ図としては、これを見てください。

http://www.kudohchiaki.com/contents/lobby/mini/09.html

この真ん中、右に血管の絵がありますけど。
血管の内側が徐々に狭くなっていますよね。
この狭くなってる部分の事を、アテロームって言います。
正常な太さの血管が、突然詰まるって事は、あんまりないですが。

動脈硬化が進んで、狭くなった血管は詰まりやすいです、当然。
だから、検査をして脳に行く血管(頸動脈)が、すごく狭い場合、それを事前に取ってしまう、という治療が行われます。

1,頸動脈内膜切除術
脳に行く血管の中でも、内頸動脈って言う動脈の根元(ちょうど顎の骨の内側付近)が、一番狭くなりやすいんですよ。
で、この部分がすごーく狭く(具体的には70%以上の狭窄)なった場合には、内頸動脈の根元の部分を直接切開して、
狭くなっている所(アテローム病変)を取り除く手術を行います。

2,血管内手術
脳に行く血管を機械的に、風船で膨らませて広げてしまう、という治療があります。
しかも、頭や首を手術で切り開かないで、血管の中に管を通して広げるだけで治療ができるんですよ。
それが、「血管内手術」です。
名前そのまんまですね(笑)

このページの絵に描いてあるんですが。
http://www.nmh.or.jp/noudou/kyousaku.htm

上の絵のように、狭くなった血管の中に、まずは風船のような物をしぼんだまま入れます。

そして、血管の狭い部分に持っていって、そこで圧力をかけて膨らまします。
そして、血管が広がった後、この写真にある「ステント」という物で補強するんです。
これが、血管内手術です。

同じ様な血管内手術を、心臓では循環器内科でやるんですよ。
狭心症とか、心筋梗塞とか、心臓の血管が狭くなる病気で。
心臓の血管内手術は、私もたくさんやった事ありますよ。

もちろん、頭はないですけどね。

頭に関しては、この治療はかなり最近の治療ですし、医者の技術も必要ですから。
できない病院も多いですよ。
今日はちょっと専門的な話が多くなってしまいましたねー。
細かい薬の名前とか、手術の名前を覚える必要はないですから。
あくまで、こういう病気だから、こういう治療をするんだ、という「イメージ」で覚えて貰えば良いですよ!

という事で、今週は脳梗塞の予防的治療についてでした。

そいじゃあ、今日はここまで。
いつものように、下にまとめを書いておきます。

【今日のまとめ】

●脳梗塞の治療(慢性期)
○内科的治療
1,血液をサラサラにする治療
2,原因となる病気の治療
○外科的治療
首の血管が狭い場合に、予防的にその部分を取る、もしくは広げる。
1,頸動脈内膜切除術
2,血管内手術